「相続には様々な手続きが必要」と聞きます。
いざ相続が起きたら、何から手をつけてよいのか…。
考えると不安になります。
相続には様々な手続きがありますね。
短期間ですべての手続きを行う必要はなく
落ち着いてからゆっくりと行えばよい手続きもあります。
今回は、相続の発生から「四十九日忌法要」の頃までに行う主な手続きについて
その概略を説明します。
なお、音声データも用意しておりますので、併せてご利用ください。
1.「死亡診断書」・「死亡届」の提出は葬儀の前に
相続が発生すると、関係者への連絡や葬儀の準備、「通夜」・「葬儀」・「初七日法要」と、短期間のうちに行うべきことが沢山ありますが、忘れてはならない手続きが1つあります。それは、「死亡診断書」の入手と「死亡届」の提出です。
病院で亡くなった場合には、通常病院から「死亡診断書」が発行されます。通常はA3サイズで、「死亡診断書」(死体検案書)と「死亡届」がセットになっています。
「死亡診断書」は「死亡届」とともに、死亡の事実を知ってから7日以内に市区町村に提出する必要があります。「死亡届」を提出して(市区町村に)受理されてると「火葬許可証」が発行されます。
「火葬許可書」が発行されないと火葬ができないので、葬儀の前に死亡届を提出する必要があります。
また、「死亡診断書」は以後の手続きにも使用するため、念のため原本を2部発行してもらい、コピーも何部かとっておくとよいと思います。
2.年金関係の手続き
「初七日法要」が済んで暫くすると、年金関係の手続きになります。
年金受給者の方が亡くなられた場合、年金の受給停止手続きを、住所地管轄の社会保険事務所で行う必要があります。厚生年金は相続発生後10日以内、国民年金は相続発生後14日以内にそれぞれ手続きを行う必要があります。
年金受給者が亡くなると年金受給権がなくなるため、(手続きをせずに、亡くなった方の年金を)そのまま受給し続けると、年金過払いとなり、返納しなければなりません。
なお、日本年金機構に亡くなったかたの個人番号(マイナンバー)が収録されている場合には、「年金受給権者死亡届(報告書)」は省略可能です。
年金に関する手続きに関しては、年金事務所にお問い合わせください。
また、初七日法要までの費用は、相続税申告に際して葬式費用(債務として控除)となるので、領収書やレシート等(支出のメモを含む)を整理・保管しておく必要があります。
「死亡診断書」・「死亡届」が最初の手続き、次が「年金」の手続きになります。
葬儀関係の領収書類も、紛失しないように保管しておきましょう。
3.遺言書の有無を確認
明確な期限はありませんが、「遺言書」の有無もある程度早い段階で確認しておく必要があります。
亡くなられた方がご家族(相続人)に、「遺言書を用意している」ということを伝えていれば、ご家族の方も遺言書が存在することが分かります。
しかし、ご家族に内緒で遺言書を書かれている場合もあり、遺品を整理している過程で「遺言書」が見つかる場合もあります。
遺言書が見つかった場合、勝手に開封しないように注意してください。
遺言書は家庭裁判所に提出して、家庭裁判所に遺言の存在や内容を確認してもらうこと(=「検認」)が必要となります。
「検認」は、遺言書の偽造・変造を防ぐためのもので、遺言書の内容の妥当性を判定するものではありません。
「検認」を経ずに遺言書を開封しても、遺言自体が無効になるわけではありませんが、5万円以下の過料に処せられます。
また、遺言書を偽造したり、遺言書を故意に隠ぺいしたりすると、相続人としての地位を失うことになるので注意してください。
なお、「検認」手続きは、亡くなった方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てて手続きを行います。
一方、「公正証書遺言」の場合、ご家族(相続人)に相談の上で作成していることが多いため、「遺言」が存在することは比較的容易にわかります。
遺言書の原本は公証役場で保管されるので、紛失や変造の恐れはありませんし、「自筆証書遺言」と異なり、様式不備で遺言書自体が無効になる危険性もなく、「検認」手続きも不要です。
しかし、相続人に内緒で「公正証書遺言」を作成している場合も稀にあります。
遺言者が亡くなっても、公証役場から相続人に通知は来ませんので、この場合は、相続人が遺言書を探さなければなりません。
あるいは、公正証書遺言を作ったはずなのに、保管してあるはずの公正証書遺言が見当たらない場合もあるかもしれません。
公正証書遺言の存否が分からない場合、あるいは、作成したはずの公正証書遺言が見つからない場合、相続人は最寄りの公証役場(全国どこでも可能)で、遺言書の有無を検索することができます。
遺言書の存在が確認できたら、遺言書を保管している公証役場に、公正証書遺言の再発行を請求します。
4.公共料金等の手続きも
亡くなられた方(被相続人)の口座から公共料金が引き落とされている場合、公共料金の使用者名義の変更、引き落とし口座の変更手続が必要となります。
不要なサービスについては「解約手続き」、ご家族が引き続き使用する場合は「名義変更手続き」を行います。
電気・ガス・水道・電話など、各公共サービスの事業者に連絡し、必要な手続きを行いましょう。
遺言書の有無の確認、公共料金関係の手続きも必要になります。
特に期限の決まりはありませんが、早目に行うことをお勧めします。