相続手続き(その3)~相続税申告に向けての準備~

財務・税務・会計関連

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相続税申告は10ケ月以内

相続税の申告期限は、相続発生日(亡くなった日)の翌日から10ケ月以内です。また、「申告書の提出期限=相続税の納付期限」となりますので申告書の提出も納税も同じ日が期限となります。

なお、この期限が土曜日・日曜日・祝日などに当たるときは、これらの日の翌日が期限となります。

例えば、相続が令和4年6月22日(水)に発生した場合、翌年の令和5年4月22日が一応(10ケ月の)期限となりますが、この日は土曜日なので、申告・納付期限は令和5年4月24日(月)となります。

相続税の申告にあたっては、相応の準備が必要となります。

代表的な準備手続きとしては、① 相続人の確認、② 遺言の有無の確認、③ 遺産と債務の確認、④ 遺産の評価、⑤遺産の分割などの手続があり、これらの手続きを経て、⑥ 申告と納税に至ります。

①  相続人の確認

被相続人(亡くなられた人)と相続人(被相続人の財産を引き継ぐ人)の本籍地から戸籍謄本を取り寄せて相続人を確認します。

相続人が確定しないと、相続税の申告だけでなく、その前提となる遺産分割の手続きも進められません。

② 遺言書の有無の確認

遺言書(自筆証書遺言書)がある場合、遺言書開封前に家庭裁判所の検認を受けます。公正証書遺言の場合、検認を受ける必要はありません。

③ 遺産と債務の確認

被相続人の遺産(プラス財産)と債務(マイナス財産)を綿密に調べて、遺産や債務の一覧表を作っておきます。この段階ではまだ評価額を考える必要はありません。まず、遺産や債務を網羅することがポイントです。

また、葬式費用も遺産額から差し引く(債務控除)ので、領収書などを整理しておきます。

④ 遺産の評価

相続税がかかる財産の評価については、相続税法と「財産評価基本通達」(相続税における財産評価の基準等が定められている規定)により評価します。この作業は通常、税理士に依頼することになります。

⑤ 遺産の分割

遺言書がある場合には遺言書に基づいて遺産を分割しますが、遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割の協議を行い、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書は、金融機関にある被相続人名義の預金や有価証券の分割、不動産の相続登記に必要な書類となります。

遺産分割には期限がありませんが、相続税申告の前提になること、遺産分割協議が整わないと(被相続人の)預金等を動かせないことから、経験上、相続開始から6ケ月前後で分割を終えるケースが多いようです。

⑥ 申告と納税

相続税の申告と納税は、前述の通り10ケ月以内に行うことになっています。申告書の提出先、相続税の納付先は、いずれも被相続人の住所地を所轄する税務署となります。また、相続税は、金銭納付が原則です。

仮に、10ケ月以内に相続人間で遺産分割協議が整わなくても、申告期限・納付期限は延長できません。期限までに分割できなかったときは、民法に規定する相続分で相続財産を取得したものとして相続税の申告をすることになります。

また、遺産が未分割のまま相続税申告を行うと、配偶者の軽減特例や小規模宅地の特例といった優遇措置の適用が受けられません。

したがって、優遇措置の適用がないものとして、いったん法定相続分で申告・納付をし、後から「更正の請求(税金還付手続き)」で納め過ぎた税金を取り戻すという追加手続きが必要となります。

もっとも、相続人間で「争族」にならないように、話し合いにより円満な遺産分割を行うことが、相続人の長期的な利益に資することは言うまでもありません。

 

所長
所長

相続税の申告期限は10ケ月。
申告書を作成する前段階として、相続人の確定、遺産や債務の棚卸
財産評価、遺産分割等の手続き必要となります。
「四十九日法要」が終わったら、相続手続きを考えることをお勧めします。

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